« ソラシドエア (SNJ / 6J)がRNP AR進入の航行許可を取得? | トップページ | 飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(2) »

飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(1)

延伸率とは、国土交通省が設けている「将来の航空交通システムに関する推進協議会(CARATS)」が発表している指標で、空港間を最短で結んだ大圏距離に対して、実際の飛行距離がどのくらい迂回しているか、航空管制レーダーの記録から集計したというものです。

路線毎の大圏距離(比較の基準)と実飛行距離の差分を飛行経路の延伸距離として算出し、大圏距離に占める延伸距離の割合を延伸率とする。

統計の対象は、羽田発着の主要5路線となっています。

対象路線:羽田-新千歳/大阪/関西/福岡/那覇

第6回 将来の航空交通システムに関する推進協議会
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk13_000009.html

資料5-6:費用対効果・指標分析検討分科会 平成27年度 活動報告書
http://www.mlit.go.jp/common/001125076.pdf

Cara2016detourrate

H24年度からH25年度にかけて大幅に改善しているように見えますが、ここはデータの取り方が変わっているため、そのまま比較できないとのこと。(昨年の報告書では、H25年度分は15.2%と発表されていました。それ以前については、今後修正する予定のようです)

ともあれ、H26 (2014)年度の延伸率は、平均で14.1%という結果が示されています。

惜しむらくは、個別路線については、グラフだけで数字の発表がないこと。また、改善された要因の分析などもあれば、読み物としてもおもしろいと思うのですが。

さて、むずかしい話を抜きにすれば、大圏距離イコール最短距離ですので、比較の基準として有用です。大圏距離を直線的に飛行できるものではありませんが、それ以上に短縮されるという説なら、ただちに信憑性に疑問符が付きます。

いまだに、「横田空域が返還されると、現在40~45分程かかる羽田―大阪間は20分程で飛べる。航空券も安くなる」のような記事が繰り返し出てきます。あまりに無茶苦茶な説なのでめまいを覚えますが、大真面目に問題を論じるというよりは、一種の娯楽記事なのでしょう。今後も、あっと驚くような新説の発表に期待しております。

(なお、搭乗ゲートと滑走路の間の地上走行時間は除いた飛行時間の話題です。お間違いなきよう)


羽田←→大阪(伊丹)の平均飛行時間は平均50分弱

Cara2016blocktime(出典:将来の航空交通システムに関する推進協議会)


それよりも、”横田空域デマ”の最大の発生源は、間違いなく、「軍民共用化」という(事実上頓挫している)政策を掲げている東京都。その影響力は大きなものがあります。

しかし、今ではフライトレーダー24のようなツールが普及して、航跡図の見た目だけでも、ほとんど迂回などしていないことはわかります。(下図は羽田→伊丹)

Fr24160610nh985

(「羽田→大阪便は特例で横田空域を通過できる」というのは昔の話で、現在は横田空域に入ることはありません。)

延伸率の考え方を使えば、さらに数字で把握することができます。

現状の飛行ルートに応分の”削りしろ”があるなら、検討の価値もあろうというものですが、後述のとおり、羽田→伊丹の延伸率は10%台と推測されるので、飛行時間が半分になるようなことはのっけから不可能です。

2008年9月横田空域削減によるルート短縮効果のまとめ↓(時短効果は、1NMあたり0.25~0.33分)

Yokotashorten2008

(出典)
横田空域の一部削減に伴う羽田空港の出発経路の設定について
平成20年7月1日
http://www.mlit.go.jp/report/press/cab13_hh_000003.html

早い話が、羽田の空域が混雑してフライトが遅延したり、発着枠が足りないのは、一にも二にも滑走路の容量を目一杯まで使いきるほどに便数が多いからであり、その原因を横田空域に求めるのはまったくのお門違いです。

政治的な主張として基地返還や空域削減を求めることはよいとして、得られるはずもない効果がその動機(理由)であるなら、どこまでも的外れな議論になってしまいます。


軽くまとめるつもりで書き始めたのに長くなってしまい、2回に分けます。次回は下表のデータを使います。

大圏距離と飛行計画ルート距離の比較(SkyVector.comを利用。距離はNM、海里で表示)

Hnddetourfpl1

Hnddetourfpl2


続きは↓

飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(2)
http://arctica1.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-5235.html

飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(3)
http://arctica1.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-e6d0.html

« ソラシドエア (SNJ / 6J)がRNP AR進入の航行許可を取得? | トップページ | 飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(2) »

rjttrjaarjty」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2063350/65934716

この記事へのトラックバック一覧です: 飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(1):

« ソラシドエア (SNJ / 6J)がRNP AR進入の航行許可を取得? | トップページ | 飛行ルートの「延伸率」と横田空域について考える(2) »