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伊勢志摩サミットにともなう飛行ルートの変更、28日(土)まで

本題から外れますが、5月27日 AF1が岩国基地着陸時にオーバーラン(?)について、後半に追記しました。


伊勢志摩サミットの開催にともない、志摩観光ホテルの周辺に飛行制限区域が設けられます。

伊勢志摩サミット会場上空における飛行制限区域等の設定(国土交通省航空局)
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku02_hh_000098.html

このエリアを通っている航空路が使えなくなるため、「平成28年5月25日(水)午前0時から29日(日)午前0時まで」の間は迂回ルートが使われます。期間中だけ設定されるRNAVルートやウェイポイントもあります。詳細は航空路誌(補足版AIP SUP 042と064)をご参照ください。

言うまでもなく、影響が大きいのは中部国際空港(セントレア)です。志摩半島上空から串本へ抜ける出発ルート(ISE ONE DEPARTURE)が使えないため、大津経由の迂回ルートが指定されています。

迂回ルートの例(5月25日SIA671便)

Fltaware160525sia671(図:FlightAware)

羽田出発便では、台湾や香港方面の出発方式がJYOGAからYANAGになるなどの変更があります。(富士山の見える側が変わる)

そのあたりは予想の範囲内と言えますが、意外なところにも影響があります。また、変更はサミットの終了後も28日(土)まで続くのも注意点です。

目を引くところでは、成田→関空線の迂回幅が大きくなっています。

成田→関西 通常ルート(昼間)

Nrtkixroute(SkyVectorで作成)

https://goo.gl/RHsnyl

対象期間中の変更ルート

(5) RJAA
(for RJBB)
→ PAPAS Y80 KEC Y43 KISEI Y46 CANDY-RJBB

Nrtkixchange(SkyVectorで作成)

https://goo.gl/kc6H6B

通常ルートと比べて、200km以上も遠回りです。使用滑走路(風向)によっても飛行距離に差があり、状況次第のところがありますが、15分程度は余計にかかる可能性があります。

通常時、関空着が21時以降のフライトでは「夜間短縮ルート」が適用されます。この場合、変更ルートの遠回り感は、大きなものとなりそうです。

Nrtkixaft21h(図:Flightradar24)

(参考)

羽田→関空便の夜間短縮飛行経路の運用開始について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/12/120726_2_.html

羽田空港及び成田空港からの関西空港到着便の昼間における短縮経路について
http://www.mlit.go.jp/report/press/cab13_hh_000019.html


5月25日成田→関西 Flightradar24の航跡図より

(1) JJP203便 飛行時間1:18

Fr24160525gk203

(2) APJ312便 飛行時間1:03

Fr24160525mm312

APJは成田→関西の3便とも通常ルートを飛行。

(3) JJP209便 飛行時間1:25

Fr24160525gk209

この便は出発が定刻より26分遅れ。成田16Rを離陸するまでに約30分かかり、関西の着陸が24Rに変わってさらに時間がかかり、飛行時間は1:25。到着は予定より57分遅れ。


5月26日も上記2社の飛行ルートと時間は、25日とほぼ同様でした。

成田→関空

通常ルート
BEACH1 BEACH Y50 GOTEN Y54 KOHWA Y544 SINGU Y544 DANDE DANDEA
337.4nm (625km)

変更ルート
PAPAS5 PAPAS Y80 KEC Y43 KISEI Y46 CANDY CANDYA
461.2nm (854km)

約230kmの迂回となっています。

SkyVectorで示された飛行時間の差が17分でしたが、ほぼ近い値です。

ところで、時あたかも、「横田空域が返還されると、羽田→伊丹の飛行時間が20分になる」という趣旨の記事が、またぞろネットに流れ、一部で話題となっています。

あらためて指摘するまでもなく、へそで茶を沸かす類のガセ記事です。

羽田-伊丹間の大圏距離(直線で結んだ最短距離)は219nm (405km)ですが、当然ながら、最短距離を一直線で飛ぶのは不可能です。飛行計画上の距離は245nm (454km)ですので、大圏距離より49km長くなっています。

50kmしか迂回していないのは、他の国内線と比べても、非常に効率的な部類でしょう。

上述のように、200km以上迂回して15分くらいの差という事実を見れば、羽田-伊丹で20分もの短縮が可能かどうか、論じること自体がバカバカしい話です。


(5月27日 メモ)

LiveATC(アーカイブ)でAF1(とSAM??)の声を聞くことができます。(27日1030Zなど)


(5月29日 メモ)

伊勢志摩サミットによる飛行ルートの変更は昨日で終了し、通常に戻りました。

AF1、セントレア→岩国着陸時にオーバーラン寸前?

大迫力で、見ごたえある動画がupされています。

オーバーランするかと思った…エアフォースワン@岩国基地
https://www.youtube.com/watch?v=33HdB7-YnQQ

一緒に表示された関連動画も見ましたが、明らかに、下図でグレーに塗られた部分(984 X 197)まで入っています。

Rjoiadrwy02swy(図:航空路誌)

「過走帯」と呼ばれるこの部分を「オーバーラン」ないし"Overrun Area"ということもありますが、ICAOやFAAの用語としては「ストップウェイ(stopway)」なので、以下ではストップウェイで統一します。

オーバーランについては、一般的な意味合いと同じく、滑走路を行き過ぎてしまうこと、とします。(米国では、軍の用語で過走帯をoverrunと呼ぶようですが)

ネット上で「ブラストパッド(blast pad)」という用語が飛び交っていますが、FAAの定義上、岩国のこれはストップウェイと呼ぶのが正しいようです。

滑走路公示距離(Declared Distances)のうち、LDA(有効着陸距離)は滑走路長と同じく2440mですが、ASDA(有効加速停止距離)が300mプラスした2740mとなっています。

Rjoideclareddist(図:航空路誌)

TORA:有効離陸滑走距離
TODA:有効離陸距離
ASDA:有効加速停止距離
LDA :有効着陸距離

FAA Advisory Circular (AC) "Airport Design"によると、ブラストパッドをストップウェイとして使うことはできないけれど、逆は可能、です。(舗装強度の違い)

ストップウェイとは、離陸を中止したときに安全に停止させるために滑走路端の先に設置される面(滑走路と同じ幅が必要)です。本来は、着陸時のオーバーランに備える目的の施設ではありませんが、そうした効果が期待できるという趣旨を述べている文献もありました。

ASDAは滑走路とストップウェイの長さを足したもの、という定義ですので、岩国の過走帯はストップウェイである、ということになります。

また、stopwayをLDAに算入することはできない、との記述があります。

滑走路長が11000feetあり、displaced thresholdでもないのに、LDAとASDAが10500feetのようなケースがあります。滑走路端安全区域(RESA)にあてる用地が足りない場合、こうした短縮運用で補足するようです。(それでは短くなりすぎるときは、EMASを設置)

NASA ASRSでstopwayを検索してみると、stopwayに入ってしまったというトラブルは少なくないようではあります。

岩国では、誘導路も滑走路と同じ強度があります。(時節柄、あることになっている、と言うべき?)

であれば、ストップウェイに突っ込んでも(そこで停まれれば)実質的には問題ないのかもしれません。それでも、なぜ追い風での着陸を選択したかという疑問は残ります。

にわか仕込みの知識で間違いがあるかもしれません。(後で気づけば修正します)

さらに情報が必要な方は、上記を手がかりに各自で調査をお願いします。

なお、747の発着には滑走路が短いように思えますが、過去にも、追跡サイトに出る民間機だけでも、B742, B744, DC10, MD11など大型機の発着は多数ありました。(旧滑走路時代の2007年にJALが運航したホノルルチャーターはB744)

AF1と同ルートを飛行したであろうチャーター便の航跡

Fr24dal8877rjoi02(Flightradar24)

2010年に茨城空港が開業(百里飛行場の共用化)して間もないころに起きたオーバーランのトラブルに類似性があるような気もします。過走帯に突っ込んでジェットバリアを引っ掛けたが、黙って帰ってしまった、という事案、だったように記憶しています。(自走可能の場合は、重大インシデントにも該当せず)

参考として、そのときの記事を貼っておきます。

アシアナ航空がオーバーラン=報告は2日後、国交省が注意 開業間もない茨城空港(時事通信)

 11日に開業したばかりの茨城空港で21日午前、ソウル・仁川発のアシアナ航空機が着陸の際、滑走路を逸脱するトラブルがあったことが23日、分かった。オーバーランなどがあった場合、航空会社はできるだけ早く国土交通省に報告することになっているが、同社が報告したのは同日になってからだった。国交省は担当者を呼んで口頭で注意する。けが人はいなかった。

 国交省によると、オーバーランしたのは、アシアナ航空168便エアバスA321型機(乗客乗員93人)。滑走路を逸脱した距離は約30メートルで、110メートルある「過走帯」の中で止まったが、極端なオーバーラン防止のため、自衛隊が過走帯内に設置したネットを損傷した。

2010.3.27

(以下、当時のニュース記事からの抜粋です)

同航空が国に提出したレポートによると、ぬれた路面とタイヤの間に水が入り込み、ブレーキが利かなくなる「ハイドロプレーニング現象」などが起きた、と説明しているという。(毎日)

国交省百里空港事務所によると、21日午前11時45分頃、同機は滑走路に着陸したが、通常通り停止できず、滑走路端を越えて「過走帯」に進入。隣接する航空自衛隊百里基地が過走帯内に設置したネットにぶつかった後、停止した。ネットは損傷した。停止後は自力でUターンし、駐機場に戻ったという。(読売)

着陸直前に強い追い風が吹き、滑走路端を越えて「過走帯」に進入した。自力でUターンし、駐機場に戻ったという。(同)

アシアナ航空は国交省に「風が吹いていたため着陸地点がずれた」として、十分な減速ができなかったと説明している。(産経)

操縦士は「雨で滑走路がぬれ、止まれなかった」と話しているという。けが人はなかった。同省によると、飛行機は滑走路の延長線上に設けてある予備の道路「過走帯(110メートル)」の途中で止まった。当時は雨で滑走路がぬれていた。(日経)

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