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羽田空港 発着枠増強策でRWY16同時平行ILS進入を検討

(2014年)7月8日付で国土交通省から「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめについて」なる発表がありました。

当記事で提示していた疑問点の多くに言及されており、たいへん参考になりました。後半部分に追記しています。

「南風案2」の都心上空から16L/Rに平行ILS進入させるための施設工事必要期間について、「5年程度」との見通しが示されています。一見して難しい要調整事項があり、2020年に間に合わせるためには「待ったなし」の状況と言えましょう。


(2014年)6月6日、国土交通省の有識者会議(「首都圏空港機能強化技術検討小委員会」)から発表された、羽田・成田空港の発着枠拡大方策が一部で話題になっています。

発表内容↓

首都圏空港のさらなる機能強化のための技術的な選択肢について(国土交通省航空局)
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk6_000002.html

(別添)首都圏空港の機能強化策について
http://www.mlit.go.jp/common/001042510.pdf

羽田に関しては、北風運用、南風運用のそれぞれについて、2案が提示されています。

南風時については、ぱっと見たところ、案1の方が本命のように思えましたが、時間あたりの発着数が、現状の80回に対して、84回(出発・到着各+2回)までしか増えないのが難点でしょうか。

一方、都心上空からRWY16L/Rに平行進入させるという案2は「時間値90回」が可能というものですが、実現にあたってはさまざまな障壁も予想されます。

上記発表資料から「南風案2」の飛行経路図↓(以下、「図1」とします)

都心上空

D滑走路を一切使わずに、時間あたり90回という高効率運用が可能になるというのですから、にわかには信じがたいところ。

もし、これが簡単に実現できるということになると、何のために巨費を投じてD滑走路を新設したのか、わけがわからなくなります。

ともあれ、図1に示されたルートと進入高度などを元に、到着ルートの予想マップを作成してみました。初期進入の部分は、成田RWY16同時平行進入ルートの形を参考にしています。"WARABY(蕨) ARRIVAL"などのSTARやウェイポイント名称は架空のものです。

滑走路の位置と方位は航空路誌(AIP)に載っていますから、滑走路の延長線である最終進入ルートに限っては正しく引けているかと思います。

Rjttacrwyphysical

(2017.3 都合により、下記各予想図の公開は休止します)

http://rnav.web.fc2.com/hnd2020/hnd-new-arvl-201406.html

Hndsouthparallel

上図で南北方向に縦断している黒線から西側がいわゆる「横田空域」です。

RWY16Rの進入高度3000feet、同じく16Lを4000feetと示されており、通常どおりに3度の降下角でまっすぐ進入することにすると、横田空域にはみ出してしまいます。

「その部分の横田空域は返還させるべきだ」と言うのは簡単ですが、空自入間基地(入間GCA)のエリアに近接しており、ここは一筋縄でいくとは思えません。

GCA(出典:「横田飛行場運用について」)

「都心上空ルートは午後の4時間に限定」との報道もあります。ひょっとして、水面下で空域調整の話が進んでいる?と思ったりもしますが、今のところそれらしい情報の手がかりはなく、微妙なところです。

ほかにも、OMIYA - SYE - TOHNEという海自下総基地の進入ルートに影響する可能性もあります。

進入方式はILSを想定と思われますが、16R(A滑走路)ではローカライザーを設置するスペースが?です。RNAV進入であれば、地上設備は必要ないですが、悪天候時には対応できません。

以上のような諸要素を考え合わせると、やはり「南風案2」の実現可能性は甚だ疑問に思えますが、他の諸案の動向も含めて、今後の経過を注意深く見守りたいと思う次第です。


(追記)
2008年9月の横田空域削減以前の空域図など、古い情報に基づくデタラメ記事が少なくないのでご注意ください。

横田空域の一部削減に伴う羽田空港の出発経路の設定について(国土交通省航空局)
平成20年7月1日
http://www.mlit.go.jp/report/press/cab13_hh_000003.html

「横田進入管制空域」図
http://arctica1.cocolog-nifty.com/gtma/yokota-aca-201503.html

16Lの反対側 34RのILS進入も最終進入高度が4000ftとなっています。(ILS Z RWY34R)

Rjttilsz34rprofile

"DME to ITC"はILSの距離測定装置(DME)からの距離、"NM to THR"は滑走路端からの距離で、いずれも単位はNM(海里)

各種情報をもとに入間GCA空域の位置を推測してみました。(赤色線範囲)↓

緯度経度の情報はありませんので、赤色線は手書きで引きました。

南北方向ともGCA誘導経路のダウンウィンドは3000ftとなっているようです。(青色のRWY16R進入高度と競合します)

Irumagcaarea

「横田空域が」「米軍が」という話ばかり喧しいですが、その前に航空自衛隊(入間基地)は空域使用にOKしているのかを是非とも教えてほしいところ。

空港北西側にも進入表面を設置へ?

Hanedasurface(図出典:東京空港事務所)

(参考)
第6回住宅・土地・公共工事・環境WG 議事概要
○ 航空法による建築物等の高さ制限の合理化について
http://www8.cao.go.jp/kisei/giji/03/wg/jutaku/05/gaiyo.html#GIJI4

当ブログ子の意見としては、大規模地震の発生もが懸念される中、これ以上の野放図な高層建築物の乱立を抑制する意味でも、北西側に制限表面が拡大設定されることを期待しております。

また、空域の問題については、やはり解決可能の見通しがあってこそ、「南風案2」を提示したものと解されますので、ことに注意深く今後の推移に注目していきます。


首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめについて (2014.7.8)
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku01_hh_000053.html

[別紙2]より

さらに空港処理能力を高めるためには、住宅密集地等への騒音影響が懸念されるものの、新たにA滑走路とC滑走路を使用するケースを考えざるを得ない。なお、この場合は、安全の確保のため、計器着陸装置(Instrument Landing System;ILS)による同時平行進入方式以外の方策が設定できず、常時これによる同時平行進入が必要となる。(pp.8-9)

新飛行経路での運用を行うことにより、南風時は東京都、神奈川県、埼玉県内の新飛行経路下の地域において、一定の時間帯に新たな騒音影響が発生することとなる。現行の到着経路下にある千葉県及び東京都の地域については、一定の時間帯の騒音影響が無くなり、1日あたりの騒音発生回数も減少する。(p.4)

既述した滑走路運用・飛行経路の見直しを行うことは、現在ある地上建築物との安全確保上の問題はない。しかしながら、今後、都市計画等による高層建築物の設置が飛行経路に影響を与えることを防止するため、円錐表面等が設定されていない範囲については、新たな飛行経路の検討等とともに、円錐表面の拡大や外側水平表面の設定について議論が必要である。(p.15)

空港処理能力拡大に対応するための管制運用上の課題について、検証の上、所要の改善を図る必要がある。特に空域面については、経路の変更とあわせて、東京ターミナル管制空域の拡大を含めた首都圏空域の再編が必要である。
また、米軍及び自衛隊を含む周辺空域や飛行場の管理者との飛行経路及び空域に係る調整が必要である。(p.17)

[別紙3]より

A滑走路においては、GSの設置により、A8誘導路が使用不能となるため、北風時における到着機の処理回数が低下するおそれがある。この他、LOC設置のため、多摩川に用地の確保(埋立てでなくても可)が必要である。(p.34)

当該施設整備に要する期間は、用地の確保や空港施設を供用しながらの施工を踏まえると、5年程度である。(p.34)



現行の運用の範囲内でも、都心または周辺部を低高度で通過することがあります。

着陸やり直し(ゴーアラウンド)時に都心部を4000フィートで飛行↓

140731bc10

http://www.flightradar24.com/data/flights/bc10#3f33ecc

RWY23着陸やり直し後に、16Lに着陸の珍しいケース↓

140731bc726

http://www.flightradar24.com/data/flights/bc726#3f39dcc

RWY16Lへの進入ルートが北側へ大きくはみ出し。(深夜RWY23閉鎖時の事例)↓

140729qr810

http://www.flightradar24.com/data/flights/qr810#3eefc13


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