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羽田空港 夜間のLDA平行進入で滑走路取り違え?(追記あり)

3月30日からの羽田空港大増便を経て南風運用の季節を迎え、ちょっと気になる事象も。

例によって、Flightradar24 (FR24)その他の航跡図より。

(その1)

Pfd7522140425(図: planefinder.net)

これは、映っていない(ADS-B非装備)後続便との間隔が詰まりすぎたらしく、なぜかこの先行便の方がゴーアラウンドさせられています。

(以下、取り上げた各ケースについては、一般に公開されている限られた情報によっています。状況判断が見当違いの可能性もあります)

西・南方面からの到着に使われるRWY22(B滑走路)のLDA進入については、

180KIAS at D8.0 IKL
160KIAS at D3.0 IKL

という通過速度がチャート上に指定されています。

また、管制から速度調整を指示できるのは滑走路端から5NMまでが限度とのこと。「管制業務処理規程」はJAPAのWEBページで閲覧できます。

増便でタイトになっているのか、なかなか速度制限が解除されないケースも多いようで、タワー(飛行場管制)の周波数に来てまで"maintain 160 knots until 3 DME."とか"keep high speed as long as possible."のようなフレーズが頻繁に聞こえるのは違和感をおぼえます。

上例のD7522便は減速が早すぎて、後続便に追いつかれてしまった、ように見えました。


(その2)

次の例は、LDA RWY22で進入して来たのに、RWY23の方へ向かってしまい、ゴーアラウンドさせられています。LDA RWY22のやり直しは、4000ftで空港北側を時計回りに飛行して、2回目はLDA RWY23で進入するのが通例です。

Fr24ga886140425

このGA886便、先ほどLDA RWY22からゴーアラウンドさせられたD7522便と千葉市上空ですれ違ってからLDA RWY22の進入を開始しますが、そのD7522の2回目の進入を妨害するような形でRWY23に向かってしまいます。(幸い、D7522はそのままRWY23に着陸)

30分ほどの短時間に2回のゴーアラウンド、その両方にD7522が関わっているのが、なんとなく不安を感じさせる展開です。

LDA RWY22の進入機が、先に見えてくるRWY23ないしはRWY23進入機の方へ向かってしまう...現在の運用(D滑走路供用後の南風好天時)が始まる前に懸念されていた事態です。


D滑走路供用(羽田再拡張、2010年10月)開始以前に、航空局が海外でプレゼンしていたスライドの1ページ。

Slda

LDA 22の進入では、進入復行点(Mapt)より手前で左旋回してはいけない、との注意事項。


(その3)

翌々日。またもやD7522便。

Faw140427d7522(図: flightaware.com)

Fr24d7522140427

RWY23の進入コースにかなり接近したのか、進路を妨害された進入機が南方向へ回避。

Fr2414042713062

もし、近くに16L/Rからの出発機がいると、どっちへ回避させるか難しい場面? 

D7522便は、2回目の進入LDA 23にすんなり入れず、房総半島上をもう1周。理由は不明。


(その4)

数日後。たいへん珍しい、LDA 22からRWY23への着陸。(誤進入ではありません)

Lda22circle23

前にいたGA886の速度が遅く、間隔が詰まってしまうおそれがあったため、急きょ変更された様子。

出発便が少ない時間帯なら、西・南方面からの便を計画的にRWY23に振れば、多少なりとも余裕ができるような気もします。


夜間の進入に影響がありそうな変更として、2月6日にRWY22のAGL(進入路指示灯、中央防波堤内に設置)が廃止されています。

Vptlda222011

新たなVPT図には東京ゲートブリッジを記載。また、MAPtより手前ではLDAコース上にとどまるようにとの注が追加。

Vptlda222014

航空安全会議では、RWY23への誤進入防止のために「オフセットPAPI」の導入を要請している由。ホノルル国際空港 (PHNL)にそうした設備が設置されている、という主張のようです。

http://www.kohkuren.org/phoenix261.html

調べてみると、羽田に似たLDAがある26L滑走路について、

RY 26L PAPI ALIGNED 05 DEG LEFT OF RY CENTERLINE. RY 26L PAPI UNUSBLE BYD 05 DEG RIGHT OF RY CENTERLINE.

との注意書きがあります。Google MapでもPAPIの付近を拡大表示すると、PAPIが滑走路方向とずれているのを確認できます。ただ、PAPIの向きをずらしているのが、着陸滑走路間違いの防止を目的としているのか、確信のもてる情報が見つかりません。

いずれにしても、数少ない事例をたまたま目にしただけとしても、羽田の平行LDAで誤進入は確かに発生しているわけですし、状況次第で大きなトラブルに発展しかねない要因も抱えています。さらなる安全対策が望まれるところです。

ホノルル LDA/DME 26L↓

Hnlldadme26l

LDA 26Lの動画(2件)

Honolulu Landing LDA Runway 26L, Boeing 757.
http://www.youtube.com/watch?v=d_AZ6u93EJc

CaptJack Honolulu Landing HNL
http://www.youtube.com/watch?v=z_OuOb4zyUI

PAPIの解説 (FAA)

Navigation Programs - Lighting Systems - PAPI
https://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_offices/ato/service_units/techops/navservices/lsg/papi/


2014.10.16から LDA RWY22の各進入図に「MAP (D1.1 IKL)まで直進」の注意が大書されます。

Rjttldaw22141016


2016.12.22
DARKS ARRIVAL, VOR A (RWY16L)からRWY23(滑走路閉鎖中)に誤進入のインシデント発生

先に見えてきた滑走路に向かってしまった、という意味では類似性もあるので、このページに追記します。

Fr2420161221apj1028(図:Flightradar24)

Flightradar24プレイバックでインシデント発生までの1時間ほどを見て、流れをメモしました。以下、時刻はUTCで表記します。

Traffic1612211430(Flightradar24プレイバックをもとに作成)

出発便は16Lから離陸。前便(OKA2989)までの到着は、間をぬって34Rに着陸していた。

一部の報道によれば、APJ1028便は当初34R着陸と指示されていたものが、その後16Lに変更された、とのこと。

APJ1028便の進入時には16Lに出発待ちの列ができつつあり、16L着陸への変更は妥当な管制指示のように見える。(34R出発だと騒音影響もあり、16L出発が優先のはず)

ただ、直前の使用滑走路や進入方式の変更がトラブルの誘因になることはよく言われているところで、最初から16Lという指示であったら、あるいは、変更なくそのまま34R着陸だったら、問題は起きなかったかもしれない。

RWY23直前の高度が"100ft"と表示されるが、気圧補正の必要あり。(実際の高度は+400feetていどで、公式情報の「高度約140m」に近い。案の定、ネット上には「進入高度が低すぎる」とのコメント散見)

RJTT 211600Z 24003KT 160V290 9999 FEW030 SCT040 13/08 Q1026 NOSIG RMK 1SC030 3SC040 A3032
RJTT 211530Z 24003KT 170V310 9999 FEW025 BKN/// 12/08 Q1027 NOSIG
RJTT 211500Z VRB01KT 9999 FEW030 BKN/// 12/08 Q1027 NOSIG RMK 1CU030 A3035

LiveATCで直前のTWRのみ聴きましたが"、Runway one six left"と明確にリードバックしており、なぜRWY23に向かってしまったのか。クルー間のコミュニケーションがどうだったか気になります。

あわせて、閉鎖中のRWY23の進入灯などの点灯/消灯状況も。

以下に進入チャートを転載します。およその飛行ルートを赤で書き入れました。

前の便まではILS進入で34Rに着陸↓

Ilsyrw34r160107

当該便が指示されたVOR A進入↓

Vorarwl6lr160915

通常の深夜南風運用で使われるLDA進入と非常によく似ていて、確かにconfusingであると思います。また、監視している管制官が間違いに気付くとしても、滑走路の直前になります。

Ldayrw23150305

公式情報↓

調査中の案件(運輸安全委員会)
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail2.php?id=2169

類似事例として読み直したい調査報告書(閉鎖中滑走路誤進入、関空24R)
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=2004


2017. 5. 5

22:30すぎ"LDA W RWY22"進入中の5便が立て続けにゴーアラウンド。Twitterなどで話題となっていました。

Fr241705051348z

以下、状況確認のための各種情報(一定期間のみ閲覧可能なものがあります)

Flightradar24プレイバック
https://www.flightradar24.com/2017-05-05/13:30/12x/35.66,139.85/11

LiveATC.net Air Traffic Control Audio Archives
RJTT Twr/TCA
http://archive-server.liveatc.net/rjtt/RJTT-Twr-TCA-May-05-2017-1330Z.mp3

前後時間帯の進入方式(出典:羽田空港飛行コースホームページ)

2017/05/06 00:00    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 23:45    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 23:30    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 23:23    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 23:12    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 23:00    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 22:30    ILS Y RWY23 LDG RWY 23 DEP RWY 16L
2017/05/05 22:00    LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
2017/05/05 21:30    LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
2017/05/05 21:00    ILS RWY22/ILS Z RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
2017/05/05 20:30    ILS RWY22/ILS Z RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
2017/05/05 20:00    LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R

前後時間帯のMETAR(出典:aviationweather.gov、太字強調は引用者)

RJTT 051500Z 20009KT 8000 FEW002 BKN004 17/16 Q1014 NOSIG RMK 1ST002 7ST004 A2995
RJTT 051445Z 19008KT 8000 FEW002 BKN004 17/17 Q1014 RMK 1ST002 6ST004 A2995
RJTT 051430Z 18011KT 9000 SCT003 BKN005 17/17 Q1014 NOSIG RMK 3ST003 6ST005 A2996
RJTT 051423Z 18012KT 9000 FEW003 BKN005 17/17 Q1014 RMK 2ST003 6ST005 A2995
RJTT 051412Z 18011KT 9999 FEW003 BKN009 17/16 Q1014 RMK 2ST003 6ST009 A2996
RJTT 051400Z 18010KT 9999 FEW003 SCT009 17/16 Q1014 TEMPO FEW005 BKN008 RMK 1ST003 3ST009 A2996
RJTT 051330Z 18010KT 9999 FEW004 SCT009 17/16 Q1014 NOSIG RMK 1ST004 3ST009 A2997
RJTT 051300Z 18011KT 9999 FEW009 17/16 Q1014 NOSIG RMK 2ST009 A2997
RJTT 051230Z 18011KT 9999 FEW009 17/16 Q1014 NOSIG RMK 1ST009 A2997
RJTT 051200Z 17010KT 9999 FEW010 18/16 Q1015 NOSIG RMK 1CU010 A2998
RJTT 051130Z 19010KT 9999 FEW015 19/16 Q1014 NOSIG RMK 1CU015 A2997
RJTT 051100Z 20012KT 9999 FEW015 19/16 Q1014 NOSIG RMK 1CU015 A2996

「天候が良いのに悪天時運用(ILS進入)はおかしい」のようなコメントを多く見かけました。20-21時台にILS運用となっていたことを指しているようです。ただ、「好天」とか「悪天」とは、多分に便宜的な分類です。一般的な見た目で「天気が良い」「悪い」とは違うので、それぞれの進入方式を使える条件(数値)と比較しないと、あまり意味がありません。

この連続ゴーアラウンドのあった時間帯、22:30 (1330Z)のMETARで視程"9999"だけ見ると問題ないように思えますが、RMKのところに"3ST009"とあり、低層雲があったことがわかります。

LiveATCを聴いてみると、しきりに「滑走路を視認できる高度は1000feet」という情報が出されていました。LDA進入では1000feetまでに滑走路や進入灯が見えなければゴーアラウンドなので、ほとんどギリギリの条件だったことになります。

LDAに沿って進入中は間隔が取れていても、ゴーアラウンドして北に変針するタイミングの違いによって2機の進路が交差することがあります。下図(multi select表示)だとわかりませんが、先行するJAL378は4000feet、後続のUAE312は3000feetです。

Fr241705051344z

でもって、あいかわらず、「2950ft」の表示だけ見て「今日は高度が低め。3000feet未満だから騒音が大きい」などというコメントがあるので、苦笑してしまいます。

Fr24170505a2997

なるべく南風悪天時運用(ILS)は避ける、という方針があるのでしょうか。「天気が良いのになぜ悪天時運用するのか」という苦情が多いのかもしれません。

しかし、落下物のような突発事象なら仕方ないとしても、今回については、雲量の増加傾向がわかりますし、早めにILS進入に変更されてもよかったような印象です。ゴーアラウンドのリスクを増やすような運用は好ましくないように思います。

(2017.5.9補足)

「羽田空港飛行コースホームページ」の5月5日分データが更新されていたので補足します。

当日20時以降の進入方式推移は以下のとおりでした。

20:00-20:50 LDA
20:50-22:20 ILS
22:20-        LDA

上図22:44の場面

Hndfc1705051344


(参考)

気圧で高度が補正されているかどうかの違い(5月3日の例)

LDA RWY22のFAF(最終進入開始点)、BONDOを5000feetちょうどで通過することになっていますが、、、(BONDO 30.605356, 140.078467)

↓緯度経度 35.6057, 140.0794

Fr241705030203

同便のFlightAwareログ 上図とほぼ同位置(約400m東)

Faw1705030203

飛行コースホームページは気圧補正後の高度で表示↓

Hndfc1705030200

ただし、FR24プレイバックには出ている"JAL6"(出発便)が飛行コースホームページには出てこない、という不可解な点も。

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