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7月25日 庄内空港にRNAV出発・到着方式設定、他

先日AIS JAPANに公開された、6月27日付の航空路誌改訂版 (AIP AMDT)は全287ページと久々に大部な構成ですが、中味を見ていくと、ページ数の割りに実質的な変更箇所は少ないようです。

特に、「計器進入方式に係る記載事項の変更」というタイトルで、既存のRNP AR進入チャートとデータ表(coding table)の全件が修正されており、これらがかなりの紙幅を占めています。必要性があっての改訂とは思いますが、進入方式そのものは変わっていません。

以下、目に付いた変更をいくつか。


(1)伊丹NDB (OW)の廃止

改訂版の冒頭は「伊丹NDB(OW) の廃止等」です。

「まだ残っていたのか」の感もありますが、これで航空局が管理するNDBは、関西(KN)を残すのみとなります。KNは関空のILS RWY24L/Rに必要な施設とのことですが、最近、初期進入をRNAV化してNDB (ADF)を不要とした方式も開始されており、こちらも存続は時間の問題でしょうか。

各NDBの位置(Google Mapへリンク)

OW ITAMI NDB

KN KANSAI NDB

伊丹NDB廃止にともなって、大阪空港のチャートが多数差し替えになりますが、ほぼチャート上からNDBのマークが削除されただけのようにも見えます。一例をあげると、騒音軽減のための優先飛行経路の図では、伊丹NDBと同位置が「OWポイント」という表記に変わっています。

現行

OW NDB

OW NDB廃止後

OW Point

ところが、大阪航空局が6月11日に発表した工事発注(入札)予定の表を見ると、「大阪国際空港VOR/DME施設整備工事外1件工事」の工事概要として、下記のような記載があります。

伊丹NDBの撤去及び撤去後にVOR/DME(カウンターポイズ含む)の設置を行う。

ということは、現在大阪空港の敷地内にある大阪VOR/DME (OWE)がNDB跡地に引っ越す計画でしょうか。

VORが移転するとなると、出発・到着方式に影響があるのはもちろんのこと、大阪VORを通っている航空路も変わるため、その場合には改訂事項も多くなるでしょう。OWEはVORの大幅削減後も引き続き運用予定となっている模様です。


(2)羽田空港C滑走路の短縮運用

改訂版の本編には載っていませんが、同じく6月27日付の航空路誌補足版NR072/13「東京国際空港における運用制限について」に、C滑走路南端の延伸工事にともなう、滑走路短縮運用の情報が出ています。(期間中、離陸に使える滑走路長は2910mに短縮)

羽田運用制限C滑走路

「NR063/13 東京34R ILS の運用休止及び代替措置について」とともに、運用制限は8月22日から1年間以上も続く予定です。(前倒しの供用開始を目標としているようではありますが)

短縮運用時の滑走路末端(threshold)位置は、353238.90N/1394807.14E
https://maps.google.co.jp/maps?q=35+32+38.90N+139+48+07.14E&hl=ja&sll=35.544139,139.801983&sspn=0.027307,0.028453&t=h&brcurrent=3,0x6018646d1259d793:0xaec677a735aca97b,0&z=15


(3)庄内空港にBasic RNP 1のSID, STARおよびRNP APCH設定など

現状STAR(標準計器到着方式)がなく、VOR直上から進入する方式のみとなっている庄内空港に3本のRNAV STAR (規格はBasic RNP 1)ができます。

MOKKE ARRIVAL / SHONAI ARRIVAL / YURAH ARRIVAL

また、現在3°オフセットのローカライザー進入があるRWY27にRNAV進入が新設されます。このところ、RFレグ(曲線進入)をともなうRNP AR方式が各地で導入されつつありますが、今回のものは通常のRNAV進入です。(ノンレーダー空港のため、"RNP 0.3 required."の指定があります)

ただし、JASMAが公表しているRNAV/RNP航行許可機リストによると、定期路線に就航している民間機のうち、RNP APCHの許可を取得しているのは、目下のところ、JACのQ400(11機)と新中央航空のD228(4機)のみとされています。B737NGなど、庄内に就航している機材にもRNP APCHやRNP1を実施させることになるのかどうか、一般向けには情報がなく、謎のままです。

List of RNAV/RNP Approved Aircraft registered in Japan
http://www.jasma.jp/reports.html

RNAV(GNSS) RWY27

JASMAのリストが最新状況をもれなく反映しているのか、少々疑問もありましたので、別のソースで裏付け調査をしてみました。

RNAV航行が可能な航空機(飛行計画の第10項に"R")は、さらに、第18項に実施できるRNAV, RNPの種類を記入することになっています。

RNAV の種別
A1 ..... RNAV 10 (RNP 10)
B1 ..... RNAV 5 許可されたセンサー全て
B2 ..... RNAV 5 GNSS
B3 ..... RNAV 5 DME/DME
B4 ..... RNAV 5 VOR/DME
B5 ..... RNAV 5 INS 又はIRS
B6 ..... RNAV 5 LORAN C
C1 ..... RNAV 2 許可されたセンサー全て
C2 ..... RNAV 2 GNSS
C3 ..... RNAV 2 DME/DME
C4 ..... RNAV 2 DME/DME/IRU
D1 ..... RNAV 1 許可されたセンサー全て
D2 ..... RNAV 1 GNSS
D3 ..... RNAV 1 DME/DME
D4 ..... RNAV 1 DME/DME/IRU

RNP の種別
L1 ..... RNP 4
O1 ..... Basic RNP 1 許可されたセンサー全て
O2 ..... Basic RNP 1 GNSS
O3 ..... Basic RNP 1 DME/DME
O4 ..... Basic RNP 1 DME/DME/IRU
S1 ..... RNP APCH
S2 ..... BARO-VNAV 有りのRNP APCH
T1 ..... RF 有りのRNP AR APCH (特別承認が必要)
T2 ..... RF 無しのRNP AR APCH (特別承認が必要)

注1) 該当する記号が次に掲げる表の右欄にある記号の場
合は、左欄にある記号のみを記入すれば足りる。

記入する記号 該当する記号
B1 ..... B2, B3, B4 及びB5
C4 ..... C3 及びC4
C1 ..... C2 及びC4
D4 ..... D3 及びD4
D1 ..... D2 及びD4
O4 ..... O3 及びO4
O1 ..... O2 及びO4

(AIP ENR 1.10-9より)

飛行計画メッセージのサンプル (ICAO)

(FPL-ABC123-IS
-B77W/H-SDE1GIRWZ/SB1D1
-NZAA2300
-M083F360 DCT PAPTI A464 TN J251 DN B583 BRU M768 TSN R468
GOMES DCT DANNY1B
-VTBS1130
-PBN/A1B1C1D1L1 DOF/091120)

太字で表示したPBN/以下の記号が適用可能なRNAV, RNPの種別を表しています。

以下、ネット上(海外の複数サイト)で閲覧できた(過去の)フライトプラン(時期は2013年前半)から、PBNエントリーの実例を挙げます。

AAL B752 PBN/A1B2B3B4B5D1S2
AAL B763 PBN/A1B1C1D1L1O1S2T1
AAL B772 PBN/A1B1C1D1L1O1S2T1
AAR A320 PBN/A1B1C1D1S1S2
ANA B737 PBN/B1C1D1T1
ANA B738 PBN/B1C1D1T1
ANA B763 PBN/A1B1C1D1
ANA B788 PBN/A1B1C1D1T1
AUA B738 PBN/A1B1C1D1L1O1S2T2
BAW B77W PBN/A1B1D1O1S2
BER B737 PBN/A1B1C1D1L1O1S2T1
CAL A333 PBN/A1B1C1D1S2
CAL B738 PBN/A1B1C1D1S2
CAL B744 PBN/A1B1C1D1S2
CCA A319 PBN/A1B1D1S2T1
CCA B738 PBN/A1B1D1O1S2
CES A320 PBN/A1B2C1D1L1O2S2
CES B737 PBN/A1B2C1D1O1S2T1
DAL A332 PBN/A1B1C1D1L1S1
DAL B752 PBN/A1B1C1D1O1S1T1
DAL B763 PBN/A1B1C1D1L1O1S1T1
DAL B77L PBN/A1B1C1D1L1O1S1T1
DLH A343 PBN/A1B1C1D1L1O1S1S2
FLI A319 PBN/B1D1O1S2T1
JAL B738 PBN/A1B1C1D1T1
JAL B763 PBN/A1B1C1D1
KAL B738 PBN/A1B1C1D1S1S2
KAL B772 PBN/A1B1C1D1L1S1S2
MAS A388 PBN/A1B1D1O1S2
NLY A320 PBN/A1B1C1D1L1O1T1
QTR A320 PBN/A1B1D1L1S1T1
QTR B788 PBN/A1B1D1L1S1
SAS A343 PBN/A1L1B1D1S2
SIA A345 PBN/A1B1C1D1L1O1S2
UAE A332 PBN/A1B1C1D1L1O1S2T1
UAE B77W PBN/A1B1C1D1L1O1S2T1
UAL B744 PBN/A1B1C1D1L1O1S2
UAL B752 PBN/A1B1C1D1O1S1T1
UAL B763 PBN/A1B3B4B5C4D4O4
UAL B772 PBN/A1L1B1C1D1O1S2

以上より、ANAとJALについては、RNP ARが可能な機体であっても、RNP APCH (S1, S2)の許可は取得していないようです。

サンプルが少ないですが、一般にRNP AR可能機は併せてRNP APCHの許可も取得しています。(上の中ではNLY=Niki Airlinesは例外)

ICAOその他の資料によれば、RNP APCHに比べて、RNP AR APCHはハードルが高いはずで、RNP AR可能な機体でなぜRNP APCHの許可を取ら(れ?)ないのか、どうも釈然としません。JALがモントリオールのICAO本部で行ったというRNP ARについての下記プレゼン資料は大変興味深い内容ではありますが、なぜより容易なRNP APCHのapprovalを取得しないのかという点に関しては、答えがありません。

JAL’s status of RNP AR APCH in Japan (ICAO, October 2012)
http://www.icao.int/Meetings/PBN-Symposium/Presentations/Session%203/8%20Nobumichi%20Akagi%20-%20Japan%20Airlines/JAL_RNP_AR_Implementation%20PBN2012.pdf

オーストラリアのAIC(2010.9)に下記のごとき記述があり、RNP ARの許可取得者はRNP APCHの要件を満たしているが、実施許可申請は別途必要ということです。

4.2 An RNP AR approval satisfies the requirements for the issue of an
RNP APCH - LNAV and an RNP APCH LVAV/VNAV (APV Baro-VNAV)
approval. An RNP AR approved operator must apply to CASA for
approval to conduct RNP APCH - LNAV or RNP APCH LVAV/VNAV
(APV Baro-VNAV) approaches.

ニュージーランド AC

RNP APCH

Note: Existing RNAV (GNSS) approaches may continue to be flown by operators with existing operational approvals or conditions on CAA Form 2129 and operational specifications which permit their use.

Note: RNP APCH operations requires approval as defined in this advisory circular, no credit will be given for existing RNAV (GNSS) approach approvals.

日本の主要空港(レーダー進入管制あり)で行われているRNAV進入は、RNP(要求される航法精度)が指定されない暫定規格のため、RNP APCHの許可は必要ないとしても、海外では該当の進入方式が実施できない等の不都合があるかもしれません。何か深遠な理由があるのか知りませんが、日本のRNP, PBNの展開は、諸外国の方向性と微妙に食い違いが生じているようにも思われます。

また、日本でRNP ARの実施効果が高いことは確かだとしても、対応可能な機体が限られる、大手2社以外や外航機には普及していない、など気になる点もあります。

最後に、定期旅客便で実施される可能性があるのか不明ですが、USUBAポイントから庄内空港までBasic RNP 1のMOKKE ARRIVAL、ILS Z RWY09またRNAV(GNSS) RWY27を接続した飛行ルート図を作成しました。

庄内RNP1

http://polar-rte.way-nifty.com/201304/0201hndsyo-rnp.html

ZUNDA ONE DEPARTURE (Basic RNP 1)から羽田までのルート図
http://polar-rte.way-nifty.com/201304/0201syohnd-rnp.html

従前から、羽田→庄内便については、早いタイミングでDCT YSE (direct Shonai)のショートカットが許可されることが多いようで、航空路とは関係なくまっすぐに庄内へ向かう航跡が多いです。

http://polar-rte.way-nifty.com/faw/130602ana893.html

http://polar-rte.way-nifty.com/faw/130612ana893.html

庄内→羽田については、現行ルートと新RNPルートがほぼ同じです。

http://polar-rte.way-nifty.com/faw/130605ana896.html


同じ滑走路にこれら2つのRNAV進入方式(チャート)がある場合。

RNAV (GNSS) Z RWY 16
RNAV (RNP) Y RWY 16

"(RNP)"の方は、"RNP APCH"ではなく"RNP AR APCH"です。

"(GNSS)"の方が"RNP APCH"であるのが、非常にわかりにくいところ。

FAA(米国)のチャートでは(GNSS)の代わりに"(GPS)"となっています。


(追記 7月18日)

7月25日と8月22日の航空路変更後の地図

8月の変更は奄美大島周辺のRNAVルート関連です。詳細は航空路誌改訂版をご参照のほど。

Google Map標準のROADMAPタイプ、英語表記↓
http://polar-rte.way-nifty.com/genrc/jpn-enrc-201308.html


庄内空港RWY27ローカライザーが運用休止(8月22日~10月16日)

AIP SUP NR081/13 25 JUL 2013
庄内LOC 27, LOC-DME 27 の運用休止について

庄内LOC 27, LOC-DME 27 は、工事のため次の期間運用休止される。

庄内LOC 27, LOC-DME 27 (ISN)
平成25 年8 月22 日0000JST から平成25 年10 月16 日2400JST まで。

代替方式は設定されない。

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