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3月7日 調布飛行場でIFR(計器飛行方式)開始も対象は定期便限定

航空路誌改訂版 NR7(3/7発行)にて RNAV(GNSS) RWY35 が差し替えとなっています。

ページ末尾に追記しました。

誤記訂正により、航空路誌改訂版 NR11(4/4発行)でチャートが再度差し替えとなっています。(当ページへの転載は省略します)


3月7日から東京都の調布飛行場(RJTF)でIFR(計器飛行方式)の運用が始まります。(2月7日付航空路誌改訂版参照) ただし、「計器飛行方式の運用方法」の項に、調布でのIFRは定期便専用との記載があります。

調布飛行場におけるIFR運航は新中央航空の定期運送路線機に限られる。

IFR導入の経緯については、三宅島路線が羽田から締め出され、調布に移転を余儀なくされる理由も含めて、下記の会議録でかなり詳しく知ることができます。

平成24年度第1回調布市調布飛行場対策協議会 会議録
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1346655434276/files/giji1.pdf

平成24年度第2回調布市調布飛行場対策協議会 会議録
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1350528111533/files/kaigiroku2.pdf

平成24年度第3回調布市調布飛行場対策協議会 会議録
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1367315031666/files/kaigiroku24-3.pdf

三宅島はまぎれもなく東京都の一部であり、調布、三宅島の両空港も都営の施設なのです。にもかかわらず、こうした重要な会議に担当者が出席することもなく、調布市まかせという東京都のやる気のなさにはあきれてしまいます。

東京都営空港
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/jigyo/tmg-airport/tmg-airport.top.html

さて、新設される出発方式(SID)の"YOKOSUKA ONE DEPARTURE"は従来航法(横須賀VORを使用)によるもの、進入方式の"RNAV(GNSS) RWY35"はRNAVの規格としては"RNP APCH"に分類されます。

HYE1

進入方式はRNAVによるものですので、調布飛行場(もしくは、その近傍)にILS, LOC, VORのような無線施設が設置されるわけではありません。

日本で行われているRNAV進入には、1.(横方向の)航法精度が指定されないRNAV進入、2.RNP進入(RNP APCH)、それから3.RNP AR 進入(RNP AR APCH)があります。このうち、RNP AR APCHについては、"RNAV(RNP) Z RWY 30"のように表記されていますが、RNAV進入とRNP進入は、共に"RNAV(GNSS) RWY35"のように表記されるため、タイトルを見ただけでは判別できません。

RNAV(GNSS) RWY35

チャート左上の注記を見ます。

1.DME/DME RNP0.3 not authorized.
2.RNP0.3 required.
3.GNSS required.

ここに"RNP0.3 required."とあるものはRNP APCH、"RADAR service required."とあるものは航法精度の指定がないRNAV進入です。旭川空港については、ターミナルレーダー管制はありませんが、札幌管制部が「広域レーダー進入管制」を実施しており、そのための設備である"ASAHIKAWA SSR"(二次レーダー)の稼働がRNAV進入実施の条件になっています。

RNP進入の例:出雲空港 RNAV(GNSS) RWY07

RNP-RJOC

RNAV進入の例:函館空港 RNAV(GNSS) Y RWY 30

RNAV-RJCH

RNAV進入の例:旭川空港 RNAV (GNSS) RWY16

RNAV-RJEC

RNP AR進入の例:函館空港 RNAV(RNP) Z RWY 30

RNPAR

RNP APCH、RNP AR APCHなどを実施するための運航許可を得ている航空機のリストは下記サイトに公開されています。

List of RNAV/RNP Approved Aircraft registered in Japan
http://www.jasma.jp/reports.html


RNP AR APCH: 北九州空港↓

RF (Radius to Fix)と呼ばれる曲線進入が特徴。縦方向(高度)のガイダンスはBaro-VNAVによる。

RJFR-RNP-AR18

岡山空港RNP AR進入の航跡↓
http://arctica1.cocolog-nifty.com/fw2/131008jal1687.html


航法精度が指定されないRNAV進入に関しては、「RNAV運航承認基準」という別の枠組みになっていますが、対象航空機リストのようなものは公開されていないようです。

精度が指定されないRNAV進入とRNP進入とでは何が違うのか、というあたりが、部外者(門外漢、マニア)には非常にわかりにくい部分です。いろいろ調べても結局わからずじまいですが、航空機側はRNAV進入とRNP進入とで違うシステムを使うわけでもなく、また、精度を指定しないRNAV進入は過渡的な仕様で、将来的にはRNPに移行する方針が示されていることなどから、実質的には同じものと考えてよさそうです。

航法精度を指定するRNAV進入方式であるRNP APCH航行については、本年2月に許可基準を改正しRNP APCH航行にかかる基準を設定したところですが、当該基準は承認通達に基づくRNAV(GNSS)進入にかかる運航承認基準を包含していることから、RNP APCH航行許可機についてはRNAV(GNSS)進入にかかる運航承認を免除する旨の承認基準の一部改正を行い、手続きを簡略化することにより運航者の負担軽減を図ることとしました。

(「2008.9.2 RNAV 運航承認基準の一部改正について」より)

なおも疑問が残る点は、RNP APCHの航行許可が出ているのはSBAS(衛星によるGPS補強=augmentationシステム、日本のSBASがMSAS)を装備した機体に限定されているらしいこと。RNP AR APCHが実施できるような航空機であれば、RNP APCHも問題なく行えるのではないかと思いますが、目下のところ、RNP AR APCHとRNP APCH両方の許可を得ている機体はありません。上に例示した出雲空港のRNP進入をB737-800も使えればメリットのある場面もありそうですが、実際にはそうなっていません。

B737-800など大半のエアライン機はGPS補強システムとして、ABAS(航空機ベースの補強システム)を利用しています。ABASは、またの名をRAIM(Receiver Autonomous Integrity Monitoring 受信機による完全性の自律的監視)と言います。

「RNAV運航承認基準」や「RNAV航行の許可基準及び審査要領」は、下記「日本航空機操縦士協会 - 航空局通達・等」のページでも閲覧できます。お世辞にも読みやすい文章ではないですが、RNAVの規格が日本語で詳細に説明されているのは「RNAV 航行の許可基準及び審査要領」が随一の資料と言ってよいでしょう。(英文の資料だと、もっと平明に書かれているものが多数あります)

http://japa.or.jp/notice/index.html


RNAV(GNSS)進入について、必読文献↓

衛星から得た高度 (geometric altitude)を垂直ガイダンスとして利用する米国のLPV進入方式についてのFAA説明資料
http://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_offices/ato/service_units/techops/navservices/gnss/library/factsheets/media/RNAV_QFacts_final_06122012.pdf

日本のMSASは予定の性能を満たさず、SBASによる垂直ガイダンス付RNP進入を実施できるメドは立っていないようです。


調布RNAV(GNSS) RWY35の飛行ルート図(枠内で拡大縮小およびスクロール可)


「管制業務処理規程」の用語集から関係ありそうな語を抜粋

  • 計器進入方式(Instrument approach procedure)
    計器飛行方式により飛行する到着機が秩序よく進入し着陸するために必要な飛行経路、旋回方向、高度及び飛行区域を定めた一連の飛行方法をいう。
    注 計器進入方式の名称は、精密進入では当該進入のシステム称(ILS 等)、RNAVによる非精密進入ではRNAV又はRNAVによらない非精密進入では最終進入における水平方向ガイダンスを提 する無線施設の名称(LOC、VOR、TACAN、NDB 等)によって表される。
  • 性能準拠型航法(Performance based navigation – PBN)
    ATS 経路、計器進入方式又は指定された空域において運航する航空機の性能要件に基づくRNAVをいう。
  • 航法仕様(Navigation specification)
    指定された空域内での性能準拠型航法による運航のために必要な、航空機及び航空機乗組員に係る一連の要件をいい、RNAV仕様とRNP仕様に区分される。
  • Baro-VNAV(Barometric vertical navigation)
    飛行管理装置(FMS)その他のRNAVシステムの垂直航法(VNAV)機能を利用した、気圧高度を用いた垂直方向の経路情報による航法をいう。
  • Basic-RNP 1(Basic-RNP 1)
    全飛行時間の95%における進行方向に対する横方向の航法誤差が±1海里以内となる航法精度及びその他の航法性能要件並びに航法機能要件(機上性能監視及び警報機能を含む。) が規定されるRNP仕様をいう。
  • RNAV(Area Navigation)
    無線施設、自蔵航法装置若しくは衛星航法装置、又はこれらの組み合わせで、任意の経路を飛行する方式による航法をいう。
  • RNAV 経路(RNAV route)
    RNAV 仕様に従い航行する航空機の用に供するために設定された飛行経路をいう。
  • RNAV仕様
    「RNAV」の接頭辞が付される機上性能監視及び警報機能に係る要件を含まない航法仕様をいう。
  • RNAV 進入方式(RNAV approach procedure)
    全地球的航法衛星システム(GNSS)を航空機の測位及び位置情報更新の手段として使用するRNAV適合機のために設定された航法精度が指定されない計器進入方式をいう。
    注 RNAV進入方式は、航法精度が指定されないことから性能準拠型航法には該当しない。
  • RNAV 進入(RNAV approach)
    RNAV 進入方式、RNP進入方式又はRNP AR進入方式に従い進入することをいう。
  • RNAV1(RNAV1)
    全飛行時間の95%における進行方向に対する横方向の航法誤差が±1海里以内となる航法精度及びその他の航法性能並びに航法機能要件が規定されるRNAV仕様をいう。
  • RNAV1 経路(RNAV1 route)
    RNAV1 に従い航行する航空機の用に供するために設定された標準計器出発方式、転移経路及び標準計器到着方式をいう。
  • RNP(Required Navigation Performance-航法性能要件)
    特定空域内における航行に必要な航法性能をいう。
  • RNP仕様
    「RNP」の接頭辞が付される機上性能監視及び警報機能に係る要件を含む航法仕様をいう。
  • RNP 進入方式(RNP Approach procedure)
    全飛行時間の95%における進行方向に対する横方向の航法誤差が、初期進入、中間進入、進入復行の各セグメントにおいて±1海里以内、最終進入セグメントにおいて±0.3 海里以内となる航法精度その他の航法性能要件及び航法機能要件(機上性能監視及び警報機能を含む。) が規定されるRNP仕様に基づく計器進入方式をいう。
  • RNP AR 進入方式(RNP Authorization Required Approach procedure)
    飛行時間の95%における進行方向に対する横方向の航法誤差が最小±0.1海里以内となるような航法精度及び航法機能要件(機上性能監視及び警報機能を含む。) が規定されるRNP仕様及び法第83条の2の特別許可に基づく計器進入方式をいう。

Do 228NGのパンフレット(PDF 1.03MB)
http://www.ruag.com/de/Aviation/Military_Aviation_DE/Customer_Support/Dornier_228_New_Generation.pdf

富士山を借景にした新中央航空の機体写真が紹介されています。


航空路誌改訂版 NR7(3/7発行)にて RNAV(GNSS) RWY35 が差し替えとなっています。

調布RNP差替

FAFの名称がKUJIIからDROMPに変更。位置は同じ。


調布飛行場からの定期便就航先(新島、神津島)には、以前からRNP APCHが設定されていました。

新島RNP29


Operational guidelines to conduct RNAV(GNSS) approaches LNAV, LNAV/VNAV and LPV (フランス航空局)
http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/ST-GuideO1-_PBN-RNAV_GNSS__ENGv3.pdf


JA34CAはADS-Bを装備しておりFlightradar24に表示

JA34CA

RNAV進入DROMP付近(FAF,最終進入点)

Squawk表示に注目。7373はIFR機用のコード。

2013年10月5日
RJTF 050332Z 34007KT 4500 -RA BR FEW006 BKN009 BKN015 19/17
Q1024 RMK 2ST006 5ST009 7ST015 A3025=

VFR時は1200または横田のVFRアドバイザリーから割り当てられるコード(54XXなど)

コードの割り当てはAIPのENR1.6に載っています。


(参考)VFRの進入経路

Rjtftfcptn


(2014年11月記)

その後、SBAS装備機以外にもRNP APCHの運航許可を取得した機体が増え、ノンレーダー空港でもRNAV進入が普及しつつあります。

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